DROMADAIRE



 ラクダには一つのコブがあるものと、二つのコブがあるものいるが、モーリタニアにいるのは、もっぱら一つのコブのヒトコブラクダだけ。「沙漠の船」と呼ばれて、数世紀にもわたってキャラバン隊の主役を務めてきたトコブラクダは、近年自動車が普及するまで、サハラ砂漠でなくてはならない輸送手段をになってきた。かつてズエラットのそばのイジルやマリのテガッザで取れる塩を、西のワラッタやトンブクトゥまで運んだキャラバン隊のヒトコブラクダは、多い時で30,000頭もいたという。一頭が30kgの塩を背負ったとして、15万バレルも輸送したことになる。

 よくタクラマカン沙漠で紹介される毛深い二つこぶのあるラクダと違い、ヒトコブラクダはすらりと足が長く、まつげの長い、かわいい顔をしている。モーリタニアのヒトコブラクダは、エジプトのピラミッドのそばでしつこく乗らない?と声をかけられたラクダ使いのラクダより、アルジェリアやモロッコで見たラクダより、頭が小顔でとりわけ美しい (と筆者は思う)。

 そして、遊牧民たちは彼らを「沙漠の民への神様からの贈り物」として、権力と豊かさの象徴として家族以上に大切に育てている。遊牧民たちからいろいろなヒトコブラクダの話を聞くにつけ、不思議がいっぱいの魅力的な動物だ。

 ヒトコブラクダの身長 :最大225cm、
 体重 : 450〜900kg
 エサ : 草食
 平均寿命 : 25才

ヒトコブラクダの魅力


これは他のHPに出ていた写真。 どうです、モーリタニアのヒトコブラクダのほうがスマートでしょう? 草をもぐもぐ食べているところ。顔もかわいい!
横顔もやさしそう。 ラクダ達の色は白っぽいベージュ、ベージュ、薄茶、こげ茶など。時折こんなツートンカラーのラクダもいる。  ティシットからマリに向かう塩を運ぶラクダのキャラバン隊。動物用の岩塩を運んで2週間も歩く。私達のこの時代にキャラバン隊とは! まるで夢のような風景でした。
ヒトコブラクダのすごいところ!

たいへんな力持ち : 「沙漠の船」と呼ばれ、輸送手段として使われた: 馬などに比べて頑丈で太い骨格と頸部靭帯を持ち、重い荷物も持つことができる。300kgもの荷物を背負うことができる。

長距離を早足で歩ける : 1日80kmも歩くことができる。荷物を持たない時には25km/h速度で歩くことができる。

こぶはエネルギーと水分の補給源: こぶの中は脂肪質、それが水に代えられる世界でたったひとつの動物。

体温が6℃も上下できる : ラクダの体温は、暑い中では体温が34℃、そして涼しい中では42℃に変化。こんな体温を持つ動物は他にいない。
 
エサの無い時には小食でも生きていられる :沙漠の食糧の少ない時期、場所で生きられるような独特な胃袋とこぶがある。5〜8日間も、何も食べないでもいられる。

何日も水を飲まずにいられ、そして1回の水の飲む量と速さは他の動物ではまねができない: 2週間〜5週間も水を飲まずにいることができる。15分間に200リットルの水を飲むことができる。

尿の濃さは海水の2倍、尿の量は体重の1/1000、そして大便の量は牛の1/10。

とげの間の葉を食べる不思議な口 : つまようじが四方に向かって突き出ているようなアカシアの木の、トゲの間の葉が大好物。どうやってトゲがささらず食べられるのか

栄養価が高く、雑菌が少ないミルク : ヒトコブラクダのミルクは、ビタミン・ミネラルが牛乳の3倍、そして抗菌性がずば抜けて高い。

パワルフなオス :オスは一頭でグループ全部のメスをコントロールする。交尾は一晩中、または一日中、そして、元気なオスは1シーズンで70頭ものメスに交尾する。

過酷な乾燥地帯、砂丘や岩だらけの沙漠に対応できる様々な特殊な体の構造、エサの少ない中でも生きていられるワザがいっぱいの動物

沙漠では冬の夜間に0℃以下になることもあるが、夏の日中は50℃を越える。地面の温度は70℃近く。そんな中を歩くことのできる特性クッションの足。

   
ヒトコブラクダの特殊な体の構造

ウルトラ乾燥地帯、夏の地面の熱さは70℃近く、そんな沙漠に適応したさまざまな機能

  強烈な日差しの中、ねずみ、ウサギ、砂ギツネ、シャッカルなど多くの動物が沙漠で生息するが、日中の日差しを避けて砂の中や岩陰で生活する。しかし、ラクダほどの大きさになると、そのようなわけにはいかない。ヒトコブラクダは沙漠地帯で飼われている中で、物理的・生理学的に、気候・環境に順応するように変化してきたと思われる。
 
  地上1,5mほどの高いところにある体全体を十分支えられる大きな足を持つ。地表くからそれだけ離れることで、気温が下がるからだ。さらに長い首により、頭の位置は地表から2m離れることになり、その位置では地表の半分近い気温になる。地面から体を離すよう、長い足と首を持つことで、気温対策をしている。

 沙漠では絶えず強風、そして度々砂嵐が起こる。吹き付ける砂から保護するために、は毛深く、目は長い二重のまつげでできるだけ砂やほこりが入らないようになっている。日本女性が憧れるような憂いのある長いまつげは、いたずらに顔の造作ではなかったのだ。必要から濃く、長くなってきたのだ。

 は特有の側面副鼻腔嚢を持っていて、鼻から息を吐き出す時の水分の損失を抑えている。他の動物にはみられない構造で、これがあるおかげで、鼻を完全にふさいで呼吸することができる。鼻をふさいで呼吸だなんて、やってみて。きっと私たちはできないはず。

 はゴム状になっていて、アカシアのとげで口をケガしないような構造になっている。(というが、下写真のように、四方八方に突き出ているトゲがどうして刺さらないのか筆者はいまだに疑問。遊牧民に聞いても、「神様の仕業」と言って、論理的に説明をしてくれる人はいない)。

 背中のコブの中は、水が入っていると思われがちだが、実は脂肪のかたまり。白いフヨフヨした脂質で、大きさはその栄養状態により非常にばらつきがある。コブは栄養と水分があるとふっくらと大きいが、栄養や水分が足りないと小さくしぼんでしまう。健康なオスだとこのコブは100kgを越えるものもいる。

 コブの中の脂肪は、エサが少なくなって食べ物がない時にエネルギーに代わるだけでなく、鼻から吸い込んだ酸素と結合して水に変わることができる。健康な栄養状態の良いラクダだだと、40リットル分もの水分を体内で作れるといわれている。

 このコブのイオン代謝おかげで、ヒトコブラクダは暑い時期2〜3週間、冬の涼しい時期には4〜5週間も水を飲まずに生きることができる。また、体重の30%の水を失っても、血中濃度が死亡率に達っしない。たとえば、これが人間だと、体重の12%の水分を失うと死んでしまうし、水を飲まずにいられるのは24時間が限度である。また、砂漠では塩性化が進んで塩分の濃い井戸がよくあるが、ヒトコブラクダは塩分濃度の高い水でも飲むことができる。

 長時間水を飲まなかったヒトコブラクダは15分間で200リットルもの水を一気に飲むことができる。このような短時間でこれだけの量を飲むことができる動物は他にいない。他の動物は、一度に体内に水分が入ると赤血球が破裂して死んでしまうからだ。しかし、いつも水が無くても大丈夫、このように一気に飲むというわけではなく、3〜7日に1回50リットルくらいづつ飲むのが本来の飲み方だ。

 は他の反芻動物同様、4つの部屋に別れ、50kgもの食べ物、あるいは240リットルもの水をストックできる。水分を最大限吸収しながら、どんな木質なエサでも消化できる特性がある。

 一般の動物は尿素が体内にたまると死んでしまうが、ヒトコブラクダは独特の肝臓機能、腎臓機能を持ち、尿をろ過してリサイクルしている。このため、彼らの尿は、海水の2倍の濃さもある。1日の排尿の量は体重の1/1000ほど、つまり600kgくらいの中型メスラクダで、一日の尿が600ccほどしかない。普通私たちの尿の量は大人の男子平均一日700ccである。また、尿の中のたんぱく質の量は、羊は23%であるのに対し、ヒトコブラクダは1%しかない。

 冬の沙漠はとても寒い。その中でヒトコブラクダは、体温が36℃まで下がる。一方、夏の暑い日中、気温が50℃を超えるような時には、体温が42℃になる。別に熱があるわけではない。こうして、自分の体温を上下させて、外気に適応しているのだ。他の常温動物ではありえない体温の差である。

 体中の脂肪分がコブに集まり、その他の場所に皮下脂肪が無いことで、より機能的な体温調整ができるようになっている。皮下脂肪が無いので皮膚からの発汗が少なくて済む。汗腺が非常に少なく、体全体分散し、水分を対外に発散しないで済むように汗をほとんどかかない。後頭部にある腺は、汗腺が変化したものとみられ、ステロイドの多い分泌液を出し、オスは特に匂いが強い。

 血液の量は、体重1kgにつき93mlと他の家畜に比較して非常に多い。
 
沙漠のエサの少ない地帯に適応
 サバンナ地帯と違い、沙漠では雨が少ないことから、ヒトコブラクダのエサとなる植物が圧倒的に少ない。数ヶ月から数年もの間雨が降らない地域もあり、その期間・時期は一定ではなく、エサを求めて移動している間、何日もエサを口にすることがないこともある。栄養分の少ない飼料から最大限の養分を吸収する能力を持っており、その為に体内の消化時間が他の動物に比べて長い。さらに、ヒトコブラクダは抗菌体(ガンマグロブリン、トランスフェリン、リゾズィマ)を持ち合わせ、胃や腸内で微生物の増加を抑えられるのだという。エサの少ない時期には、1日4〜5kgのアカシアだけで我慢できる。

 また、上記の尿のリサイクル作用により、たんぱく質を最大限体内に取り込むことが、エサが少なくても耐えられる体質の原因でもある。

長い首、足により、頭の位置は地表から約2m、これで温度が地表の半分くらいになる 強風の中でも対応できるように、耳は毛深く、長いまつげは二重になっている 鼻は、特殊な構造で、閉じたまま呼吸ができる
アカシアを食べるラクダ 好物はこのアカシアの葉。このトゲの間の葉をどうやって食べるのか?? 井戸に水を飲みに来たラクダ。一頭が一回に飲む量は30〜50リットルもあるので、水汲みはたいへんな作業
あらラララッという内に、パラパラとフンをする。 体の割には小さなフン。下の黒い部分がボールペンの先。牛の1/10もない。遊牧民は炭のように燃料として使う これだけの巨体が地面に着いて体を支えるのは大変。首のつけねの胸のところに、こぶと同じ脂肪質のクッションがある。
歯で年齢がわかる
 
 ヒトコブラクダは他の動物と同じように乳歯が生え、それが永久歯に生え変わる。7歳までは歯の数で年齢がわかり、遊牧民たちは、歯を見て、ラクダの年齢を調べ、売買したりするという。乳歯は22本、永久歯は34本で乳歯より色が濃い。

 〜1歳 : 上顎両側に4本づつ奥歯(臼歯)、下顎両側に3本づつ奥歯。
 〜3歳 : 上顎両側に5本づつ奥歯、下顎両側に4本づつ奥歯。
 〜4歳半 : 永久切歯が出始める。
 〜5歳 : 奥歯の乳歯が永久歯に変わり始める。上顎奥歯2本、下顎奥歯1本の永久歯が生える。
 〜5歳半 : 上顎両側に6本づつ奥歯がある。下顎両側に切歯が2本づつになり、奥歯は永久歯10本と生え替わる。
 〜6歳 : 上顎両側に1本の切歯、1本の犬歯の永久歯。下顎両側に1本の切歯永久歯。
 〜7歳 : 全部の歯が永久歯に入れ替わる。

 犬歯は6歳になって生え始め、7歳になるとかなり大きくなり、上顎の犬歯は長さが4cmもある。
 歯の磨り減り方は、生活環境によって大きく違い、従って、ラクダの寿命もこれによって大きく変わる。平均寿命は25才、中には40才まで生きるものもいるという。反芻動物では20才を越えるものはあまりなく、40才ともなると破格の長寿だ。

 
遊牧民たちはラクダの年齢を歯を見て判断するという。大人の歯は1本が4cmもある。 ラクダは嫌がってなかなか口の中を撮らせてくれない。 水を飲んだ後は、唇をプルンプルン振り回して、水を飛ばす。その時の表情が、なんとも愛嬌があっておもしろい。


繁殖と発情期
 
 オスの適齢期は6才〜12才。発情期になると、オスは非常にアグレッシブになり、食欲を失い、体重も減る。中には下痢をしたり、頻繁に尿をするものもいる。唾液の量が極端に多くなりよだれがだらだら垂れている状態になり、口もとの両端にピンク色の袋のようなものが両側にぶら下がる。アラブではドゥラ(Doula)と呼ばれるもので口内の皮膚が袋状にぶら下がる。いきり立っているオスたちは、噛み付いたり、蹴飛ばしたり、頭突きをしたりするので、遊牧民たちは「発情期のオスには近寄るな」と言って近づかないようにしているという。

 そして、地面に膝をついているメスに対し、尻もちをついたような格好で後ろ足を伸ばし、前足はメスのこぶの上のほうにかざしたまま交尾する。遊牧民たちによると、このスタイルのまま、「グググーー」と吼えながら一晩中、あるいは1日中交尾するという。(仏語ウィキペディア情報によれば、一回の交尾は11〜15分、1日3,4回と記載されている)。ひとつの群れは2,3頭から多いもので100頭を越える大きな群れもいるが、すべてメスでこの中にオスは一頭。そして、元気なオスは1シーズンに70頭ものメスと交尾する。
 
 普通放牧しているラクダはメスばかりで、このメスたちを一頭のオスがコントロールしている。しかし、キャラバン隊の塩を運ぶラクダはオスばかりで構成されている。荷物を運ぶラクダは体力が落ちるとコプがしぼんでしまう。上記、1シーズンに数十頭のメスと交尾できるオスは、充分にエサを食べたオスで、雨が降らず、エサが少なくなると、性欲も落ちて繁殖能力が極端に落ちるという。

 メスの適齢期は4才〜20才、赤ちゃんは普通一度のお産で1頭、一生の間に3〜7頭を産む。妊娠期間は13ヶ月。出産の時には、群れから離れてうずくまって生む。まれに立ったまま生むラクダもいるそうだが、うずくまって生むので、押しつぶされたり、窒息してしまう赤ちゃんもいるという。授乳期間は18ヶ月。

 メスラクダは1日12〜18リットルのミルクを出す。遊牧民が搾乳するのは8リットルまで。ラクダのミルクはたんぱく質とビタミンCの量が牛乳の3倍もある。私たちはラクダのミルク2お1日2リットル飲めば、1日分のたんぱく質量が摂取できることになる。

 ただし、ラクダの肉はほとんど脂身がなく、筋肉質で堅い。
あと2,3日のうちに出産だというメスラクダ 生まれて2日目の赤ちゃん 搾乳をする遊牧民
オスのラクダ。右のお母さんと比べてみて。
首、足ががっしりしていますよね。
お母さんにお乳をねだる子供のラクダ ラクダのミルクを飲む遊牧民。ビタミン・ミネラルが牛乳の3倍もあるのですって。抗菌性が高いので、取立てをそのまま飲める。さらりとしたおいしい。

ヒトコブラクダの足


 反芻動物(ラクダや牛などのような一度飲み込んだ食物を再び口に戻し、かみなおして飲み込む動物)はひづめを持っているが、ヒトコブラクダの足はひづめが退化し、前部に2本だけツメが残って部からのショックから保護する役割をする。趾行性(ネコやイヌのような指の第2節までを地に着けて歩く動物)の部類に入る。

 足はフレキシブルなクッションのように柔らかい。沙漠は砂丘ばかりでなく、岩場、ガレ場、小石を敷き詰めたような地域のほうが多い。ひづめの無い氷のうを地面に置いたような形のソフトな足裏は、砂地ても、岩場でも適応できるのだ。内部は4つの脂肪質のボールからできている。これが断熱材の役割をして、真夏灼熱の太陽に照らされ、地表が70℃近くなる熱い岩の上でも、歩くことができる。

 彼らはなんと、この4本の足で450kg〜900kgもの体重をささえながら、300kgもの荷物を背負って歩くことができる。荷物のないヒトコブラクダは時速25kmで、一日80kmも歩く。荷物を積んだラクダの平均時速は3,5km。

 膝には、熱い地面に膝をついても大丈夫なように硬結(たこのように厚くて硬くなった皮膚)がある。また、重い体重を支えるように胸にも脂肪質のクッションがある。
前足。ひづめが無く、全部に2つの爪がある   足の裏全体は氷のうをおいたような形    足跡。右下は500円玉。

ヒトコブラクダの歴史と分布


 ラクダ属(camelus)の先祖が地球上に現れたのは5000万年も前、北アメリカだという。そして200〜300年前にラクダがアジアや北アフリカに移ってきた。先史時代に生息していたヒトコブラクダの歯がエチオピアで発見されている。また、ジブチやソマリアの壁画にヒトコブラクダが描かれているのが見つかっている。

 ヒトコブラクダが人間とかかわりあうようになったのは紀元前2000年ごろのことと見られる。紀元前6世紀ごろにエジプトにアッシリア人が連れてきたといわれる。そしてベルベル人の到来と沙漠化の拡大と共に、広く飼われるようになる。
 7世紀後半、ガーナ王国が繁栄するようになると、金や塩などの輸送にサハラ砂漠を渡るキャラバン隊が発達する。遊牧民たちは、マグレブ地方とブラック・アフリカ地帯を行き来できる長距離移動用らくだを育てるようになる。

 ヒトコブラクダは、北アフリカのサハラ沙漠を中心とした地域、そして、スーダン、エチオピア、ソマリアで主に家畜として飼われている。野生のものはほとんどおらず、オーストラリアに一部、逃亡した家畜が野生化したものが見つかっているという。

 1999年に行われた調査によれば、ヒトコブラクダの80%がアフリカで生息しており、中でもソマリア、エチオピア、スーダンの3カ国で100万頭近い。モーリタニアでは1973,4年から20年あまりの旱魃で多くのヒトコブラクダが死んでしまい、国内で80万頭ほどしかいなくなった。

モーリタニアのラクダに関する数字

 −モーリタニアに生息するラクダ数
   様々な資料で、様々な数字なので、分かったことは、はっきりした頭数がわかっていないということ。降水量により、年ごとにかなり数が変わること、大きく移動しながら牧畜を行っているので、きっちり数字が捉えにくい現状もある。

   ちなみに、2008年末の数字では、畜産局によると130万頭
   GNAP(家畜業連合)では 2,852,623頭 と発表している。
   実際は、この1,5〜2倍ほどいるのではないかと推定されている。
   ラクダを放牧している牧童は、全国で119,00人。

 −モーリタニア人の年間食肉消費量 19,7kg/一人、 そのうち5,5kgがラクダ肉。他はヤギ、羊がメイン。南部では牛肉も加わる。
 
 - ラクダの肉の価格は、2009年10月、ヌアクショットで1kgあたり1,000〜1,200ウギア(=\400くらい)。こぶ、肝臓は1,800〜2,000ウギア。(肝臓はvelkaと呼ばれ、特に美味と沈重される。)ラクダ一頭で約15万ウギアになる。

 - 食用として買われるラクダの価格は1頭 70,000〜85,000ウギア。そこからラクダ税1,200ウギア/1頭が差し引かれる。
   モーリタニア全体で、1日約160頭が屠殺されている。ヌアクショットだけで、55〜70頭/日で、ほぼ半分近くが首都だけで消費されている勘定になる。
 
 − ラクダミルクは1頭平均6リットル/1日 出荷される。2006年ごろから、ヌアクショット近郊でラクダ乳業業者が定住し、地方から牧草を運んできて畜産を行うようになった。ラクダミルクは、Top Lait, Tiviski, Wataniなどの製品があり、市販価格は1リットル250ウギア。

資料 :
 - 「Au-dela des Sables} Regis Belleville, Arthaud,
 - 「La Mauritanie」、Christine Daure-Serfaty,
 - CIRAD (国際農業開発リサーチ機構) HP
 - WIKIPEDIA "Dromadaire" HP
 - モーリタニア遊牧民の話